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2005年11月17日

●松江 会議メモ

で、肝心の「松江で何してきたか」といいますと、まちづくりに関するフォーラムだったわけでして。

そのなかで、このblog見てる人で特に興味ありそうな、公共交通のひとつとしてバスに焦点を絞ったフォーラムの会議メモを参考に転載しますね。文責はあくまでわたしにあります。

パネリスト
 中 村 文 彦 氏 (横浜国立大学大学院環境情報研究院教授)
 鈴 木 文 彦 氏 (交通ジャーナリスト)
 松 浦 正 敬 氏 (松江市長)
コーディネーター
 飯 野 公 央 氏(島根大学法文学部助教授)

 いずれも、松江が抱えている問題点について、中村・鈴木両氏が回答するというスタイルで進められた。なお、前段に、地元の青年会議所メンバー(だったと思います)によって、松江の都市構造によって引き起こされている交通問題についての提起がなされています。

(1)交通とまちづくりについて
 (ア) 松江・・・施設が郊外に出ている、観光地が点在している問題点を抱えている
 (イ) 好例:ポートランド・・・都心に都市機能を集中。公共交通優先に方針転換。街全体でその費用を負担している。
 (ウ) 日本国内で交通とまちづくりがうまくリンクしている事例は少ない。
  (1)市内循環バスを走らせたからといって街が元気になるわけではない。街そのものが元気にならないとならず、そのためにも行政のバックアップは重要。
  (2)都市計画の段階で都市機能の集積を図る方策を
  (3)バス事業の可能性・・・現状を如何に脱却するか。表向きはいろいろ変わっているようにみえるが実は何十年も同じ方式で運営されている。隠れているニーズを掘り起こす必要あり。

(2) バス路線のわかりやすさ、再編のポイント
 (ア) 松江・・・3社が競合し、路線は複雑である
 (イ) 盛岡ゾーンバスシステム・・・国交省オムニバスタウン事業では好例
  (1) 路線の役割分担明確化
   郊外バスでバスセンターまで集客し、そこから市街地急行バスで効率的に輸送
   市内を頻発する循環バスを設定。
  → 都市のサイズによって規模は異なるだろうが、適した役割分担はできうる。
 (ウ) 複数の事業者が競合している場合の再編は非常に難しいが、各種割引制度の共通化など少しずつ歩み寄るケースは散見される(長野など)

(3) 利用促進について
 (ア) 全国的に見て驚異的なのは伊予鉄道。現在も年間二桁の伸び率。
  (1) 路線・運賃をわかりやすい体型に・・・初乗り50円、以降50円刻みで上限600円に。
  (2) サービス向上宣言・・・毎年2回新しい施策を集中実施、PRの相乗効果を生むことで、社員の士気向上も生む好循環
  (3) バスロケの実績を元にダイヤを微修正・・・場合によっては所要時間を遅らせる場合もあるが、バス停掲示の時刻と実際の運行ダイヤが符合するだけでも信頼感が向上
  (4) 鉄道線と幹線系統のバスの結節を大切にしている
 (イ) 誰に乗ってほしいのか、ターゲットを明確に。
  (1) みんなにメリットを求めるのは難しい。まずはターゲットを絞って展開し、成果が出れば次の展開へ

(4) バスをどう支えるか
 (ア) 松江・・・住民によるコミバス利用促進協議会による協議で乗客が8割増の実績
 (イ) 「マイ・バス」意識向上に向けて
  (1) 四日市や醍醐コミュニティなど、市民・NPO主体のバス運営にはキーパーソンや有識者の存在
  (2) 大学や事業者等の支援も欠かせない。そこで行政は無責任にならないこと

 会場には特別協賛で、日野自動車が最新型のハイブリッド車(ブルーリボンシティ)が持ち込まれており、試乗もできました。この画像も追ってアップしますね。