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2007年11月13日

●実はわか電ピンチらしい件

このエントリは伝聞に基づく推測なので、それをお含み置きいただきたい。
また、本件についてわかやま電鉄さんへの問い合わせ行為などはしないでいただきたい。
ということを前提にご覧いただきたい。

わかやま電鉄が今月23日から「当分の間」、平日の和歌山-伊太祁曽間4往復と伊太祁曽-貴志間1往復、土休日の和歌山-伊太祁曽1往復を減便する。平日の伊太祁曽-貴志間1往復の減便でこの時間帯の当該区間は数十年ぶり(?)の60分ヘッドとなる。

「当分の間」ということで終了時期は明確ではないが、おそらく次のダイヤ改定まで続くだろう(来春、JRがダイヤ改正をすればわか電もダイヤ改定を行う見込みとのこと)。

この理由には大きく2つある模様。

1つは施設への負荷の軽減。
先日、真夜中に保線工事を行っているのを目撃したことがあるが、最近路盤の陳腐化が想像以上に進んでいるとのこと。南海が貴志川線からの撤退を検討し始めてから保線が雑になっていたのではないかという見方もあるのだが、枕木が腐食してしまって役目を果たしていない区間が出始めているとのこと。
とりあえず通常運転に支障ない範囲で応急措置を施しているので、現状は通常運行に支障はないようだが、確かにかつてに比べて乗り心地が悪くなっている気がする(日前宮-神前間の直線区間など)。
路盤の陳腐化が進めば最高速度の抑制などの措置を執らざるを得なくなってくる。したがって、乗客が極端に少ない列車を削減することで、少しでも路盤への負荷を軽減させるということらしい。

2つめは人員の確保の問題。
わかやま電鉄のWebには「甲種電気車運転免許を有する方募集」という記事がある。しかも雇用形態は準社員だけでなく、嘱託社員(週3~5日勤務)も可能。
バス会社ならともかく、鉄道会社の社員募集で免許をすでに持っている人を募集するというのは異例。しかも週3日からの嘱託でもOK、ということは、いまの運転士のローテーションがかなりいっぱいいっぱいであることを暗に示している。開業当初、社員を増員したはずなのにまた募集しているということは・・・という推測も成り立つ。

車両を改装して、乗客は驚異的に増えているものの、実は運営している側は本当に手一杯の状態。わか電では最近イベント少ないなーという声も聞こえているが、余力が割けない状態と考えられる。

もちろん、わか電も手をこまねいているわけではなく、国交省の地方鉄道の近代化補助の適用を受けようとするなど懸命に検討を続けているが、国庫補助だけではなく、県・市との分担補助が必要なため、調整が難航している模様。
別件で紀の川市のある課長さんと話する機会があったが、紀の川市も来年度予算は部局に予算枠を渡して、そのなかでやりくりする方式になっているらしく、法的に負担することが決められている費用もあるので、自由裁量で使えるお金はごくわずかしか残らないらしい。その取り合いになってしまうとのこと。和歌山県、和歌山市も待ったなしの状態で、このままでは近代化補助の適用には至りようがない。

それでも、並々ならぬ努力はしていて、夏以降絶好調の売り上げという1日乗車券は8月は1日に100枚のペースで売れたとのこと。現金を直接わか電で取り扱うことができ増収となり、和歌山駅のJR改札機を通さなくてよいため、わか電の改札利用料の削減にも一役買っているだろう(自動券売機、自動改札機は維持費がおおむね一定だから、利用人数に応じてランニングコストを按分していると思われるので)。

1日乗車券は通常有効期限っていうものがないが、わか電の1日乗車券は2012年末まで使うことができる。会計には明るくないので間違っているかもしれないが、「2012年末まで有効な資産」ということで、繰延資産あるいは負債に計上して、売れた額だけ償却するという節税対策かもしれない。
回数券も求めて日付のスタンプが押されてはじめて効力が発生する。JRの自動券売機で回数券を求めてもその場で印字して11枚出てくるのと同じで、それまでは単なる「●円」という文字が印刷された紙でしかないから資産には当たらないのかもしれない。

・・・という細かい節税努力もしながら(その分の手間も半端じゃないはず)、なんとか増収を維持している。
そんな実情がわかってくると応援したくもなるってもの。

最近、回数券を購入。和歌山駅で降りるときは精算券もらうので改札口を通ることになるけど、乗るときはJRの係員スタンプで済むから券売機を使わないし、改札通過記録にも残らない。少なくともJRの機械を通す機械は半減する。1日乗車券も何枚かまとめ買いし、貴志-和歌山駅を往復する際はそれを使うことにしている。

貴志川線の未来をつくる会も存続決定をきっかけに会員を半数以下に落としてしまったし、いちご電車、おもちゃ電車、たま駅長などブームになって隠れてしまっているが、実は貴志川線の運営は厳しい状態にあることをもっと発信し、枕木交換基金でもなんでもいいから、改めて沿線住民が身銭を切って基金を積み立てるといったアクションを起こして、地域、行政を動かしていく努力が必要かと思われる。

いろいろ状況が見えてきた今、自分にできることは仕掛けていきたいし、少しでもわか電のためになることをしていきたい。それはバスをはじめとしたほかの公共交通にも同じ事。
いまニュース和歌山で半年間の連載を持たせてもらっているが、そういったところでも少しでも発信できればと考えている。