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2008年4月20日

●和歌山(関西)が発展しないわけ?

昨日、昼は研修、その後深夜まで打ち合わせ。

正月に日経新聞だったかが、都道府県別の「潜在成長率」を発表したところ、和歌山県だけが唯一マイナス(笑)。
記事自体を正確に見たわけではないので、それを見ての論評はできる立場にあるわけではないのですが、県の政策系部局の方は、率を算出した根拠となった各種統計の集計期間に要因があるようなことをおっしゃっていたやに記憶しています。

昨日の研修・打ち合わせの講師は、全国を飛び回ってたくさんの行政や企業などの事業にコミットされているので全国の様々な情勢をご存じなんですね。
その「潜在成長率の低い県」は実は関西と四国が多いのですが、特に率の低い県に共通しているのは「ワークショップが成立しない」のだそうです。新しいことをしようとするとすぐに足を引っ張る勢力が出てくる、とか、人の意見を聞かない、とか、同じ地域課題があってもまとまらない、とか。

昨年、その方を招いて県内某市で研修をやったのですが、実際の事例を引用して、住民側が行政に対して感じている不満があるなら、数字などの具体的な根拠を示しながらちゃんと行政に納得してもらえるような戦略を立てて提案していけばいいんですよ、っていう話をされたにも関わらず、「数字などの具体的な根拠を示しながらちゃんと行政に納得してもらえるような戦略を立てて」が抜け落ちたまま、後日行政に文句だけを言いに行った人がいて、その市からクレームがきて難儀したのです。まさに「ワークショップが成立しない」。あぁ納得(苦笑)。

その方曰く「大阪や和歌山の経済は今後発展する余地が少ない」と。
つまり、「関西人はケチ」と一般によく言われることがその遠因でして、昔はそれでよかったものの、今はサービスの「付加価値」が大事な時代。せっかくいいものを作っても「関西では(付加価値をつけても)買い叩かれる」ために関西で新しい付加価値をつけた事業を展開するのがとてもしづらい環境にあるんだそうです。

要は、そのサービスに見合った対価は支払おう、という機運に欠けるっちゅうことじゃないかな、と。


よく和歌山では例に挙げられるのですが、和歌山と大阪で同じ内容の講演会を開催するとします。

大阪では無料で開催。和歌山では参加費2000円で開催。

和歌山県民はどちらに行くでしょうか?


多くは大阪なんです。往復2000円以上の交通費がかかるのに(笑)。
和歌山で聞いたほうが、和歌山の実情に応じた話も質問も聞くことができるんですけど・・・。
お金以上に損なんですよ。でも無料だから、ということでそちらに流れちゃうんですね。


そこで昨日の話に戻るのですが、和歌山では相当程度以上の付加価値の高いサービスを提供しないと、あるいはその意義を見せないと、対価を支払ってそのサービスを提供しようなんて機運を起こせない、っちゅうことなんです。サービスを与えられ続けてきた文化に慣れちゃって、サービスを提供するのに必要な費用のことなんてみえない。
行政が民間に事業を任せるときに事業費のみで管理費が認められないなんてケースはザラです。管理費がないとどうやって人を雇用すんねん!事業を回すねん!って話なのですが、行政から仕事をくれる!ってすぐに飛びついちゃうとそれが地域のデファクトスタンダードになっちゃう。だから事業がすぐに息切れして新しいことが長く続かない。

そういった地域を超えた課題、分野を超えた課題を見通すチカラをつけて、課題解決に向けた動きをつくっていかんとあかんよね、っていうのが昨日の趣旨でありました。


ちなみに、おいら自身は和歌山の一番の欠点はほかの県ならたいていある県域紙が皆無ということだと考えてます。

神戸でのシンポジウムでパネラーとしてご一緒させていただいた社会学の先生に言わせると「逆にここまで市域紙が残っている県は和歌山くらいですよ」なんですが(確かに、わかやま新報は別として、御坊に2紙、田辺に1紙、新宮に2紙残ってます)、県全体を見渡して継続して物事を追っかける県域紙がないんです。四大紙の支局の記者さんは頑張ってらっしゃいますが-先日、某新聞の記者に不快な思いをさせられたところですが-やっぱり2年3年で転勤するし

つまり、県域紙がないがために県全体の情勢を知る術がないわけですわ。だから、断片的な情報を元に判断せざるを得ない。ネットであーだこーだ勝手に誹謗中傷しても物事は先には進まない。

日経新聞は潜在成長率はマイナスだって書きましたが、策定委員を務めさせていただいている某市のマスタープラン策定会議で年配の委員さんが「和歌山っていろんな人材を輩出しているんですよね」と。そう、松下幸之助などの企業人、中上健次や有吉佐和子といった文化人(文化人は新宮が多いけど)なども多く輩出しているんです。統計だけで算出した潜在成長率は低くても、ポテンシャルは高いはず!

・・・と思いたい。思わせてくれる何かに会いたい。そう思う今日この頃です。