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2008年5月 1日

●暫定税率という愚策

普通にガソリン減ったからスタンドに行ったら15分待たされたたまさんです、こんばんは。
どうせ近々入れなきゃなんないなら今日かなと思ったらこの結果。
一応、1000円ほどトクした計算にはなるんですけど。

でね、暫定税率が明日から復活。
もうね、バカかと。

いや、税金が上がることに反対しているのではなく、そのプロセスや「暫定」という言葉のまやかし、暫定税率を巡るいろんな動き等々に、ですわ。

そりゃ地方には整備が必要な道路はたくさん残ってますよ。これは事実です。財源も必要。これも事実です。

ただ「暫定」税率である以上、しかも、これまで期間をだましだまし伸ばしてきた税率である以上、どこかで線引きをする必要はあった。これも事実だと思うのです。
そうそう、高速道路は通行量は建設費の償還に使い、償還が終われば無料になる、はずだったんですよね。しかし次の高速道路の建設費に使うから、とかいうことで通行量は取られっぱなし。償還期間が終わって無料になっているのはごく一部の道路ですよね。

そういう事実を国民は知っているから、道路整備のあり方や暫定税率については懐疑的な意見が多かったのだと思うのです。

そこにきて、暫定税率でこんなもの買ってましたー、こんなもの作ってましたー、なんてことがセンセーショナルに取り上げられる。そうすればそりゃ反対世論が強くなるのは言うまでもありません。

しかし、今回の国会の議論では、民主党が十分な対案を持って議論したとはみえません。「道路特定財源には無駄が多すぎる」の一辺倒。
そこにきてどこかの大臣が「道路整備には今後10年で最大59兆円必要」なんてバカなこと言うもんだから「なぜそこで『最大』いくらとおっしゃるのか!」と児玉清ばりに言いたくもなります。結局、福田首相が5年間に期間を短縮して道路整備計画を見直す、と折れた形になりましたが、この発言は道路にはこれだけの費用がかかって族議員へどれだけ献金がいくのか、と感じた国民は少なくないはず。与党が思っている以上に、国民はいわゆる族議員に対する不信感を持っている事に十分な配慮がなかったと言わざるを得ません。

そこで財源不足への懸念を十分払拭できるだけの材料を持っていなかった民主党は「10年で59兆円もいるんだ」というバカな主張に対応しなかった(いや、できなかった)。

結果、国会審議が止まり、暫定税率失効になっちゃった。

国会審議がバカバカしかったことは国民もよくわかっているはず。話にならないものを聞く国民なんていません。

となると、暫定税率問題の本質より、目の前の家計に響く「ガソリンの値段がどうなるのか」というところに視点が奪われるのは明白。民主党は自らの政策提案能力の低さを見せることなく、実を取りに行ったとみていいでしょうね。


ところで、暫定税率が失効するかも、という懸念が強まったとき、地方公共団体は一斉に反対の声を上げました。しかも「こんなにも道路が作れなくなるんだよ」という、県民への脅しをちらつかせて。

どこかの県ではキャラバン隊を組んで市町村を巡ってましたが、それを冷ややかな目で見る県民のなんと多いことか。
結局、一般市民は「税金が安ければいい」という安かろう思考のままなんですよね。もちろん安いに越したことはありませんが、税金の使途に対する不信感が強いことの現れかと思われます。


また、道路をつくることが本当に地域の活性化につながるのか、という検証も十分議論が尽くされているとは思えません。生活道路ならともかく、高速道路や高規格道路の建設による「ストロー効果」あるいは滞在時間の短縮などは和歌山県でも顕著ですよね。

阪和道のみなべ延伸では御坊近辺が、田辺延伸ではみなべ付近が、それぞれ国道沿いのお店が大打撃を受けていますよね。今でこそ回復基調ですが白浜での宿泊客が激減したのも高速道路の延伸で日帰り客が増えたからと言われています。
また、田辺周辺から高速バスを使って大阪方面に消費が流出する傾向は歯止めがかかっていません。1日4往復で始まったのがあれよあれよという間に8往復に、加えて多客期には続行便もどんどん出る状態。


さらに、福田首相がガソリンが高くならないと地球温暖化防止に消極的と思われる、という発言をしましたが、そりゃそうかもしれませんが、道路をつくることによる森林破壊も相当なものでしょう。むしろ道路特定財源を使って、公共交通への逆モーダルシフトを仕掛けることで自動車の適切な利用環境をつくり出す方がイニシャルコストが安くついてよっぽど有効と思われます。


個人的にはガソリン税は、もっと高くていいと思っています。
その財源で環境負荷の低い、低酸素社会を実現すればいいと思うのです。

与えられた便利から、自分で「知恵」を生み出す社会にシフトしないと、持続可能な社会にはほど遠くなるかと。

それで日本経済は低調になるかもしれません。日本の主幹工業である自動車産業にモロに影響しますから。でも時代が変われば産業も変わっていくべきであって、産業に時代を合わせていたらひずみに巻き込まれるのは確かなことです。

建設業がその流れに乗り遅れてたいへんな目にあっているという向きもありますが、それは行政が公共事業という形で仕事を「与えていた」からであって、行政にも責任の一端はあります。
しかしめざとい建設業者は廃棄物処理や介護保険事業など別分野に進出して食いつないでいます。つまりは工夫次第です。


結局、暫定税率は1日から復活。
すでに和歌山市内でも閉店と同時にレギュラー165円という看板に欠け変わっているスタンドがありました。


繰り返しますが、暫定なんて名前がついているからどうのこうの、ということになるわけで、環境税とかそういう名目できちんと使途を明確にし、地球温暖化の重要な要素である二酸化炭素の削減に寄与する、ということを謳えば、今ほどの反対意見の多さにはならないと思います。

日本国民は小泉政権時に「痛みを伴う改革」に3/4の国民が賛成した過去がありますから、「将来にいまの日本の姿を残したい」ためには何てことはないと思いますよ。たぶんね。