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2008年6月17日

●ないも同然の計画?

 先日、和歌山市がJR六十谷駅周辺のバリアフリー計画を発表しました。

 実は、この計画書はWebに掲載される少し前に、地元の方に見せていただいていまして、おおよその概要は把握していたのですが、全体を見るのは今日がはじめてでしたので、さらっとながめてみました。さりげなくwapが引用されていてうれしかったり。
# まもなくwapの4月23日改訂バージョン出ますよー。

 この計画のなかでは、2010年までに六十谷駅自体のバリアフリー化(エレベーター、多機能トイレ、LED 式発車標の設置のほか、スロープの改良、スロープへの屋根と手すり・点字案内板・誘導チャイム等の整備)をおこなうことが謳われています。これはJR西日本の主担当になります。
 また、バスについても低床車を順次導入する、とあり、実際に六十谷駅前を通るバスはほとんどが低床車になっています。これは和歌山バス、和歌山バス那賀の主担当になります。

 が、周辺道路の整備や電柱の移設等はほとんどが長期計画(=2016年以降)、とあります。8年先にやります、なんてこのご時世、ないも同然の計画かもしれず、結局事業者任せになってしまった計画にみえます。和歌山市やる気あるんかい、って話なのですが、別に市の担当者が悪いのではなく、和歌山市をはじめとした行政の財政難に加えて、都計道西脇山口線の工事との兼ね合い、もともと住宅密集地であること、近隣に和歌山北ICが開設される関係等が複雑に絡み合っているようです。

 西脇山口線は都市計画道路として楠見小学校以西がおおむね完了していまして、今年度中には鳴滝川まで完了する見込みとのこと。また開智高校周辺や先日新装されたオークワ六十谷店付近は拡張工事が行われていますが、鳴滝川からオークワまでは道路の両側に建物があることから虫喰い状態が続いています。またJR六十谷駅南のガードの拡張をめぐっては工事方法がまだ未確定とか。ゆくゆくはその名の通り山口地区まで伸びるはずなのですが、そこまで伸びるのにあと何年かかることやら・・・(おそらく川辺のイズミヤスーパーセンターそばで鋭角にくいっと不自然に曲がっている、あの地点にたどり着くのではないかなと踏んでいます)。

 で、住宅密集地という課題です。JR六十谷駅から北の方向に数万人規模の住宅地が広がっていますが、取り付け道路が狭い。地元からバス路線設置の要望があったそうですが、道幅が狭いこと、勾配が多いことなどでバスの運行は事実上不可能。第一、最寄り駅の六十谷駅前が普通車でも離合困難な形ですから、駅前乗り入れなんて夢のまた夢。せいぜい西脇山口線が開通した上でハイエースコミューターあたりでコミバス形式で走らせるのが関の山でしょう。
 これは数年前からおいらが指摘してきたことなのですが、実はここにきて地元の方が立ち上がりました。まずは地元で福祉有償運送ができないか、ということの議論から始まったのですが、福祉有償運送はハードルが高い。ならばお年寄りに生き甲斐づくりの場を提供することからはじめて、お年寄りに元気になってもらおう、と。さすれば移動困難者が相対的に減りますから、地域の助け合いの機運が醸成される。そのなかで資金をうまく循環させるなかで、移動制約者の問題等にも関われるようになれれば、ということです。
 20年30年先の住民のことなどほとんど顧みないような形で進められた住宅開発のツケを住民が背負わされた格好になっているのですが、それを住民自らのチカラで解決しようと動き出しているわけです。

 行政の計画は、市長や担当者が変わったりすると二転三転しうるものです。でも、そこに住む住民自らが考え立ち上がる計画はそうコロコロかわることはありません。
 六十谷駅バリアフリー計画は一見、ないも同然の計画かもしれませんが、実は地域住民によってソフトの部分は形作られつつあります。今後の動きに注目したいと考えています。